● 「こんにゃくゼリーの窒息性アメと同程度」について
- 2010.08.20 Friday
- 22:17
今回のテーマはドラッグストアの定番品【こんにゃくゼリー】です。
こんにゃくゼリー叩きが続いています。
私の大好きなこんにゃくゼリー、「マンナンライフ蒟蒻畑ぶどう味
とイチゴ味」ぷにぷにの感触、香りも良くて大好きです!という、
おもいっきりの私情は冷蔵庫に置いといて。
■ 「こんにゃくゼリーの窒息性アメと同程度」について
2010年8月20日2時31分配信 毎日新聞
YAHOO!ニュースより
<こんにゃくゼリー>食品安全委が消費者庁のリスク評価批判
要約しますと、2010年6月に食品安全委員会がこんにゃく入りを含むミニカップゼリーの窒息の危険性について、「餅に次いで、アメと同程度」と消費者庁に答申しました。
しかし、消費者庁は独自に信州大に窒息事故の再現実験を依頼し、「重い事故につながるリスク要因が複数ある」との結果を受け、
同年7月「餅やアメよりリスク要因が多く、業者に商品の改善を促す」という方針を打ち出したが、食品安全委の委員から「中立公正なのか疑問」などの異議が出されたのです。
そりゃそうよ。
餅やアメよりこんにゃくゼリーのほうが危険って、どんだけ〜。
こんにゃくゼリーの負の評価が高まっていきます。なぜ消費者庁は、こんにゃくゼリーばかり叩くのか、ほんとに「中立公正なのか疑問」だわ。
■ 以下、厚生労働省の調査報告からの引用です。
引用ココカラ
● 「食品による窒息の要因分析」調査について(平成20年度)
調査期間:平成20年 9月〜平成21年 3月
● 小児窒息について、回答のあった救命救急センター185施設での、調査期間中の事例は12例であった。そのうち、家族により応急処置(背部叩打法:はいぶこうだほう)が行われていたのは半数のみであり、その教育と普及が重要。
症例12例の内訳は、アメ(5例)、ピーナッツ・豆類(3例)、リンゴ、冷凍ゼリー、ラムネ、いくら(各1例)であった。12例のうち11例は1歳〜4歳。死亡が確認できたのは1例。
● 高齢者窒息では、「認知機能(にんちきのう)の低下」、「食の自立」、「(特に義歯装着時の)臼歯部咬合(きゅうしぶ こうごう:すりつぶす歯のかみ合わせのこと)の喪失」がリスク因子であった。
窒息事故の約半数は施設で対応しており、施設職員への適切な対処方法の徹底が必要。
調査期間中の症例の内訳は、野菜・果物、肉、魚類、ご飯、パン、餅、菓子類の順で多かった。11.7%で窒息の既往(きおう:今までかかった病気やケガなどのこと)があった。
ごはんやパンを咀嚼(そしゃく)しないでのどに詰め込むことは、窒息のリスクであることが示された。
ごはんの塊(かたたまり)の比重(ひじゅう)が大きくなるほど、硬さ、凝集性(ぎょうしゅうせい)、付着性(ふちゃくせい)はいずれも増加した。唾液と混じったパンの塊の比重が大きくなるほど、硬さ、付着性は増加した。
● 現在流通しているこんにゃく入りゼリーは、旧来品に比べて、かたさ、破断応力(はだんおうりょく)の点で、一般のゼリーの特性に近づいていた。
一方で、一般のゼリーとは異なる食品特性をもつものであることから、特に、小児や高齢者へこんにゃく入りゼリーを提供する際には、一般のゼリーとは異なるものであることを再度注意喚起(さいどちゅういかんき)する必要があることが示された。引用ココマデ
― 厚労省の報告は「中立公正」な感じですね。
■ 幼児や高齢者は、窒息リスクが高い
そもそも「幼児や高齢者は窒息リスクが高い」という前提があります。
楽しいはずの食事やおやつで、幼児や高齢者が窒息しないように、注意喚起すべきなのは言わずもがなです。
幼児は、のどが細くて、嚥下(えんげ)能力が発達途中ですし、高齢者は、嚥下能力が低下していて、若い時のように豪快に食物を飲み込めなくなり、特につまりやすい餅やステーキなどでは、細心の注意を払う必要があります。
そのような背景がある中、消費者庁は、なぜ、「アメよりもこんにゃくゼリー」なのでしょうか。
■ 医薬品は、固形剤の大きさで年齢制限あり
医薬品は、錠剤などの大きさによって、年齢制限があるんですよ。
● カプセル剤、トローチ剤及び【ドロップ剤】及び直径6mmを超える錠剤(発泡錠※を除く)については、5歳未満の者を対象とする用法は認められない。
● 直径6mm以下の錠剤(発泡錠※を除く)については、3歳未満の者を対象とする用法は認められない。
※発泡錠は、水に溶かして服用する(固形のまま服用しない)ので除外
つまり、6ミリより大きい錠剤などは5歳未満は使っちゃダメで、6ミリより小さい錠剤では、3歳未満は使っちゃダメなのです。
なぜでしょうか?
もちろん、のどにつまるリスクがあるからです。
そもそも医薬品における小児(15歳未満)は、保護者監督のもとで医薬品を使うこととなっています。
このように、医薬品のほうが厳しい基準がありますが、口に入る頻度は食品の方が圧倒〜的に・・・(しつこいので省略)。
この医薬品の固形剤における年齢制限は、有効成分どうこうではなく、単に「物理的な大きさ」に対して設けられているのです。
ドロップ剤なんて、食品のドロップと食感は同じです。一方、アメ(食品のドロップ)の大きさに年齢制限はありません。
幼児はのどが細いので、アメがちょうどつまりやすい大きさなのです。また、大粒サイズのデカアメでは、成人も危険です。
■ 食品の制限ではなく、注意喚起を
食事には、危険がいっぱいです。
お箸を持って歩きまわると、目やのどをつくおそれがあります。
良く噛んで食べないと、窒息するおそれがあります。
特にお子様や高齢者では、窒息事故のリスクが高くなります。
屋台などで、棒付きの食べ物を買った時は、立ち止まって注意深く
食べましょう。
アレルギーを起こしやすい食物が表になっているように、窒息事故の報告の多い食物を一覧にして啓蒙するなど、注意喚起を行いましょう。
私は、成分や鮮度などの品質に問題がなく、非常識な形状もしていない食品が、規制されることには反対です。
しかし、保護者の見ていないところ、例えば学校や学童などでは、アメやミニカップゼリーを扱わない方が良いかもしれません。
保育園や幼稚園の餅つき大会では、小さめのお餅にちぎってくれていますが、さらに「良くかまないでのみこむと、死んじゃうこともあるよ!」とその都度(教えているとは思いますが)教える必要があります。
以前、給食のパンをつまらせて亡くなった小学生がいましたね。高学年でも油断せず、急いで食べると死ぬこともあることや、噛むことの重要性を適宜注意してほしいものです。
■ 最後に:どうしても規制するんなら
私は、こんにゃくゼリーの規制に反対ですが、どうしても消費者庁が規制してヤル!ヤッテヤル!って言うんなら、
こんにゃくゼリーに、年齢制限(小学4年生〜60歳まで)を設けてはいかがでしょうか。
現在、こんにゃくゼリーを子供のお菓子と売り場を別にすることや、パッケージ本体及び商品周辺への注意喚起をすることとなっています。残念ながら、実施していない店もあるそうです。
更に、販売時にひとことを義務づけてはいかがでしょうか。
こんにゃくゼリーを扱う小売店には、販売時に「凍らせたり、吸い込んだりせず、よく噛んでお召し上がりください。窒息事故が報告されております」と申し添えてもらうのです。
ちょっと話がそれますが、おでこにピタっと貼る熱さましのジェルシートがありますね。
私は必ず、お子様に使うかどうかを聞き、購入者に「小さいお子様が寝てしまった時に、シートがずれて口や鼻をふさぎ、窒息してしまう事故が報告されております」と伝えています。
そういう感覚で、こんにゃくゼリーも販売してはいかがでしょうか。少しでも悲しい事故がなくなるなら、まったく面倒には思いません。
とにかく、販売規制には反対。欧米が輸入禁止措置をしていようが(アメリカは3人死亡でメーカーが自主回収を行った)、品質に問題がない優良食品の規制には反対します。
規制するなら、餅もおにぎりも寿司もアメもグミもピーナツも同様にやってください。
あとあれだ、今思いついたんですが、「母親学級でも、アメとこんにゃくゼリーのリスクについて説明する。子供を父親や祖父母に預けるときは、母親からそのリスクを伝えておくこと」とする。
■ 編集後記
厚労省の『「食品による窒息の要因分析」調査について』では、小児の1位はアメ、高齢者の1位は野菜・果物だったんですよね。
この調査結果を見て、消費者庁は我に返ってほしいものです。
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こんにゃくゼリー叩きが続いています。
私の大好きなこんにゃくゼリー、「マンナンライフ蒟蒻畑ぶどう味
とイチゴ味」ぷにぷにの感触、香りも良くて大好きです!という、
おもいっきりの私情は冷蔵庫に置いといて。
■ 「こんにゃくゼリーの窒息性アメと同程度」について
2010年8月20日2時31分配信 毎日新聞
YAHOO!ニュースより
<こんにゃくゼリー>食品安全委が消費者庁のリスク評価批判
要約しますと、2010年6月に食品安全委員会がこんにゃく入りを含むミニカップゼリーの窒息の危険性について、「餅に次いで、アメと同程度」と消費者庁に答申しました。
しかし、消費者庁は独自に信州大に窒息事故の再現実験を依頼し、「重い事故につながるリスク要因が複数ある」との結果を受け、
同年7月「餅やアメよりリスク要因が多く、業者に商品の改善を促す」という方針を打ち出したが、食品安全委の委員から「中立公正なのか疑問」などの異議が出されたのです。
そりゃそうよ。
餅やアメよりこんにゃくゼリーのほうが危険って、どんだけ〜。
こんにゃくゼリーの負の評価が高まっていきます。なぜ消費者庁は、こんにゃくゼリーばかり叩くのか、ほんとに「中立公正なのか疑問」だわ。
■ 以下、厚生労働省の調査報告からの引用です。
引用ココカラ
● 「食品による窒息の要因分析」調査について(平成20年度)
調査期間:平成20年 9月〜平成21年 3月
● 小児窒息について、回答のあった救命救急センター185施設での、調査期間中の事例は12例であった。そのうち、家族により応急処置(背部叩打法:はいぶこうだほう)が行われていたのは半数のみであり、その教育と普及が重要。
症例12例の内訳は、アメ(5例)、ピーナッツ・豆類(3例)、リンゴ、冷凍ゼリー、ラムネ、いくら(各1例)であった。12例のうち11例は1歳〜4歳。死亡が確認できたのは1例。
● 高齢者窒息では、「認知機能(にんちきのう)の低下」、「食の自立」、「(特に義歯装着時の)臼歯部咬合(きゅうしぶ こうごう:すりつぶす歯のかみ合わせのこと)の喪失」がリスク因子であった。
窒息事故の約半数は施設で対応しており、施設職員への適切な対処方法の徹底が必要。
調査期間中の症例の内訳は、野菜・果物、肉、魚類、ご飯、パン、餅、菓子類の順で多かった。11.7%で窒息の既往(きおう:今までかかった病気やケガなどのこと)があった。
ごはんやパンを咀嚼(そしゃく)しないでのどに詰め込むことは、窒息のリスクであることが示された。
ごはんの塊(かたたまり)の比重(ひじゅう)が大きくなるほど、硬さ、凝集性(ぎょうしゅうせい)、付着性(ふちゃくせい)はいずれも増加した。唾液と混じったパンの塊の比重が大きくなるほど、硬さ、付着性は増加した。
● 現在流通しているこんにゃく入りゼリーは、旧来品に比べて、かたさ、破断応力(はだんおうりょく)の点で、一般のゼリーの特性に近づいていた。
一方で、一般のゼリーとは異なる食品特性をもつものであることから、特に、小児や高齢者へこんにゃく入りゼリーを提供する際には、一般のゼリーとは異なるものであることを再度注意喚起(さいどちゅういかんき)する必要があることが示された。引用ココマデ
― 厚労省の報告は「中立公正」な感じですね。
■ 幼児や高齢者は、窒息リスクが高い
そもそも「幼児や高齢者は窒息リスクが高い」という前提があります。
楽しいはずの食事やおやつで、幼児や高齢者が窒息しないように、注意喚起すべきなのは言わずもがなです。
幼児は、のどが細くて、嚥下(えんげ)能力が発達途中ですし、高齢者は、嚥下能力が低下していて、若い時のように豪快に食物を飲み込めなくなり、特につまりやすい餅やステーキなどでは、細心の注意を払う必要があります。
そのような背景がある中、消費者庁は、なぜ、「アメよりもこんにゃくゼリー」なのでしょうか。
■ 医薬品は、固形剤の大きさで年齢制限あり
医薬品は、錠剤などの大きさによって、年齢制限があるんですよ。
● カプセル剤、トローチ剤及び【ドロップ剤】及び直径6mmを超える錠剤(発泡錠※を除く)については、5歳未満の者を対象とする用法は認められない。
● 直径6mm以下の錠剤(発泡錠※を除く)については、3歳未満の者を対象とする用法は認められない。
※発泡錠は、水に溶かして服用する(固形のまま服用しない)ので除外
つまり、6ミリより大きい錠剤などは5歳未満は使っちゃダメで、6ミリより小さい錠剤では、3歳未満は使っちゃダメなのです。
なぜでしょうか?
もちろん、のどにつまるリスクがあるからです。
そもそも医薬品における小児(15歳未満)は、保護者監督のもとで医薬品を使うこととなっています。
このように、医薬品のほうが厳しい基準がありますが、口に入る頻度は食品の方が圧倒〜的に・・・(しつこいので省略)。
この医薬品の固形剤における年齢制限は、有効成分どうこうではなく、単に「物理的な大きさ」に対して設けられているのです。
ドロップ剤なんて、食品のドロップと食感は同じです。一方、アメ(食品のドロップ)の大きさに年齢制限はありません。
幼児はのどが細いので、アメがちょうどつまりやすい大きさなのです。また、大粒サイズのデカアメでは、成人も危険です。
■ 食品の制限ではなく、注意喚起を
食事には、危険がいっぱいです。
お箸を持って歩きまわると、目やのどをつくおそれがあります。
良く噛んで食べないと、窒息するおそれがあります。
特にお子様や高齢者では、窒息事故のリスクが高くなります。
屋台などで、棒付きの食べ物を買った時は、立ち止まって注意深く
食べましょう。
アレルギーを起こしやすい食物が表になっているように、窒息事故の報告の多い食物を一覧にして啓蒙するなど、注意喚起を行いましょう。
私は、成分や鮮度などの品質に問題がなく、非常識な形状もしていない食品が、規制されることには反対です。
しかし、保護者の見ていないところ、例えば学校や学童などでは、アメやミニカップゼリーを扱わない方が良いかもしれません。
保育園や幼稚園の餅つき大会では、小さめのお餅にちぎってくれていますが、さらに「良くかまないでのみこむと、死んじゃうこともあるよ!」とその都度(教えているとは思いますが)教える必要があります。
以前、給食のパンをつまらせて亡くなった小学生がいましたね。高学年でも油断せず、急いで食べると死ぬこともあることや、噛むことの重要性を適宜注意してほしいものです。
■ 最後に:どうしても規制するんなら
私は、こんにゃくゼリーの規制に反対ですが、どうしても消費者庁が規制してヤル!ヤッテヤル!って言うんなら、
こんにゃくゼリーに、年齢制限(小学4年生〜60歳まで)を設けてはいかがでしょうか。
現在、こんにゃくゼリーを子供のお菓子と売り場を別にすることや、パッケージ本体及び商品周辺への注意喚起をすることとなっています。残念ながら、実施していない店もあるそうです。
更に、販売時にひとことを義務づけてはいかがでしょうか。
こんにゃくゼリーを扱う小売店には、販売時に「凍らせたり、吸い込んだりせず、よく噛んでお召し上がりください。窒息事故が報告されております」と申し添えてもらうのです。
ちょっと話がそれますが、おでこにピタっと貼る熱さましのジェルシートがありますね。
私は必ず、お子様に使うかどうかを聞き、購入者に「小さいお子様が寝てしまった時に、シートがずれて口や鼻をふさぎ、窒息してしまう事故が報告されております」と伝えています。
そういう感覚で、こんにゃくゼリーも販売してはいかがでしょうか。少しでも悲しい事故がなくなるなら、まったく面倒には思いません。
とにかく、販売規制には反対。欧米が輸入禁止措置をしていようが(アメリカは3人死亡でメーカーが自主回収を行った)、品質に問題がない優良食品の規制には反対します。
規制するなら、餅もおにぎりも寿司もアメもグミもピーナツも同様にやってください。
あとあれだ、今思いついたんですが、「母親学級でも、アメとこんにゃくゼリーのリスクについて説明する。子供を父親や祖父母に預けるときは、母親からそのリスクを伝えておくこと」とする。
■ 編集後記
厚労省の『「食品による窒息の要因分析」調査について』では、小児の1位はアメ、高齢者の1位は野菜・果物だったんですよね。
この調査結果を見て、消費者庁は我に返ってほしいものです。
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