● もう答えは出ている-「ネット通販の是非」

  • 2009.03.03 Tuesday
  • 05:00
2009年2月24日(火)
医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会が開催されました。
これには、日本オンラインドラッグストア協会理事長 後藤玄利委員(ケンコーコム社長)と三木谷浩史委員(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)代表取締役社長が参加し、参考資料を提出しました。

参考資料には、
● 通販がないと困る人がいる(外出ができない人、店舗に買いに行く時間のない人)
● 制度を作った側、ネット販売反対の立場からの意見
● ネット販売が可能になった場合の安全策を具体的にどうするか
などの内容。

一読すれば、制度を作った側およびネット反対派の意見に、「インターネットに対する理解力のなさ」があることが浮かび上がります。

資料中、私にとって最も印象的だった意見は、今回のネット通販規制の省令を作った側(検討部会)の「ネット販売ってやつは、ホリエモン世代がやるもんでしょ。じーさん、ばーさんにはできないっしょ!」的な意見です。

引用ココカラ「私は今までのこの議論をずっと聞いていまして、自分も先生と同じ年なので(笑)、要するに、このインターネットとかメールといった新しい技術の情報、ホリエモン育ちがやっているやつですね、ああいうのを果たしてユーザーのどのくらいのパーセントの人が理解できて使いこなせるかというのは、ものすごく疑問ですね。せいぜい10%いけば御上々だと思います。私なんかは古い人間ですから、じいさん、ばあさん、本当に必要な人たちが使う場合には、基本的にはやはり昔ながらの対面で説明をきちっとする方が重要になると思うので、方法論が広がることは僕は否定しません。けれど、それがすべてのようなふうに持っていかれると非常に疑問に思いますね。」引用ココマデ。

うーん、スゴイ。この方は、「方法論が広がることは否定しない」といいつつ、ネットを肯定するつもりは毛頭ないですね。

私は薬剤師ですが、迷いなく「ネット販売はあるべきだ」という意見にたどり着きます。

ネットは顔が見えないから、危険でしょうか。
ネットでも、良い店・悪い店があります。リアル店舗でも、同様です。

私がほとんどの買い物をする大型ドラッグストアでは、ただのいっぺんも説明されたことはないですけども。そこはとても愛用しているお店で、レジが早くて助かっているので、これからも存続してほしいお店です。

一方で「小さい薬局の方が、親身に説明してくれる」という話は良く聞きます。

確かに、大型店ほど、レジに薬剤師はいません。買い物カゴからピッピッとバーコードを読んでお薬を売ってくれます。きっと顧客名簿に登録のある客以外は、どこの誰さんに売ったのかもわからないでしょう。

どこの誰さんに売ったのか、品目はもちろん住所まで把握しているネット側が、一歩リードしていませんか。

例えば、市販薬に回収命令が下ったとしましょう。なじみ客にだけ連絡できるのが店舗。すべての顧客の住所および購入品目を把握しているのがネットです。

ネットは規制すべきではなく、三木谷社長が提案した安全策を実際に運用してみて、問題が生じたら改善していけばいいのです。というかそれ以外の選択肢はないと思います。

しかし、インターネット業界は、反対する時もエネルギッシュですね。
楽天は、規制反対の署名を70万4千件も集めてます。(2009年3月1日現在)

誰でも社会人になってから一度や二度は「この仕事の仕組みは、明らかにオカシイ」という事例にぶつかったことがあると思います。この省令は「明らかにオカシイ」部類に入りますね。

そういえば、ネット販売の是非を問う激論に押されて目立たないのですが、この省令の中に書かれた正式名称は「インターネット販売」ではなく「郵便等販売」です。電話注文とか、カタログ販売も入ってるのよね。

私が今働いているところでは、すごく丁寧に電話を受けます。30分くらい話を伺うこともめずらしくありません。そうした上で、以前からのなじみ客であっても、現時点(2009年3月3日現在)では、電話注文もダメ!「第3類(整腸薬やビタミンなど)」に制限されてしまうという省令なのです。

東京に住んでいても、体調などの事情があってなんでも電話で購入するような人はいるのです。制度を作った人は、リサーチ不足だと思います。

さらに、本社が地方にあったり、販路が弱いために通販に頼っている「伝統的家庭薬メーカー」は大打撃を受けます。私は、ある伝統的家庭薬メーカーに電話してみましたが、悲しそうな声で「経営は苦しくなりますが、がんばります」と言っていました。

私は、薬の副作用の怖さは十分わかっています。
対面して、あれこれお客さまの話を聞いて、体格や肌の様子なども見て、ピッタリ合う薬を選んで差し上げるのが、そりゃあ理想でしょうけど。

私には「生活者の安全を守る!」をタテマエとした、「新勢力つぶし」に見えてしまうのです。
コメント
はじめまして、いつも読ませていただいてます。インターネット販売については、過去を遡れば、色々考えなければならない事(チェーンドラッグも含めて)も多いと思いますが、現実問題、今必要なのは、どのような制度にすれば、乱用等を防ぎながらいかに安全にインターネットで医薬品販売を行えるのかを考えるべきだと思います。ネット業者側の異常な安売りも問題だと思います。理想論では解決出来ない事なので少なくとも乱売出来ない仕組みを入れて、薬の被害者も納得できるネット販売を模索すべきでしょう。
  • 山井
  • 2009/03/03 3:27 PM
山井さん、おっしゃる通りですね。日本国内で流通している市販薬の7割以上を規制するのではなく「どのような制度にすれば、乱用等を防ぎながらいかに安全にインターネットで医薬品販売を行えるのかを考えるべき」です。
  • 新井 佑朋
  • 2009/03/03 5:00 PM
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